出雲西高インターアクトクラブ マイクロプラスチック環境汚染問題

調査の全国展開呼び掛け

 「出雲西高等学校インターアクトクラブ」は、「地域社会への奉仕」と「国際理解」を柱に1966年に設立され、今年で53年目を迎えます。そして、21世紀になるにあたり、2001年には「環境保全」を活動の中心として取り入れました。現在、40年前から行っていた海岸清掃を一歩進め、地球規模で問題となっているマイクロプラスチックの環境汚染問題に取り組み、昨年、山陰の海岸10カ所のマイクロプラスチック調査を行いました。今回は(1)マイクロプラスチック問題(2)マイクロプラスチック調査(3)マイクロプラスチック調査の結果(4)プラスチックの削減(5)学校紹介の項目に分けて、活動を紹介したいと思います。(高橋乃愛)

日御碕海岸で清掃活動を行う出雲西高インターアクトクラブ部員たち
考察1
海岸のごみ 60%国外から
 交流を重ね意識に変化

 今年で創部53年目を迎えた出雲西高インターアクトクラブは現在、環境保全活動を中心に、部員34人で活動している。今回は、海岸清掃とマイクロプラスチック問題について考察したことを述べたいと思う。

 インターアクトクラブは年間5回、海岸清掃を行っている。清掃を行ってみると、日本のごみだけでなく、韓国、北朝鮮、中国、ロシアのごみが60%もあることが分かった。私たちは国外からのごみを減らすために、島根県文化国際課に相談し、日本と韓国の中高生との交流会を企画、一緒に出雲市の海岸を清掃したり、ごみを減らすための討論会を行ったりしている。この国際交流は今年で7年目になる。

 このような交流を続けていくうちに、韓国の中高生たちは自国の漂着ごみが多いことを反省し、韓国に帰って海にごみを捨てないキャンペーンをしてくれるようになった。近年、海岸清掃をすると、韓国のごみが少しずつ減ってきている。

 また、討論会の時に問題となったのは、最近懸念されているマイクロプラスチックについてだった。私たちで調べてみると、世界の海に現在存在するプラスチックごみは合計で1億5千万トン、そこへ少なくとも年間800万トン(重さにしてジャンボジェット機5万機分に相当)が流出すると推定されている。

 プラスチックが海に捨てられると、5ミリ以下に小さくなる。これがマイクロプラスチックである。世界の海には約5兆個のマイクロプラスチックが漂っているのである。(小畑凜久)


海岸でのプラスチックごみの調査
考察2
食物連鎖での濃縮懸念
 自然分解までは450年も

 「図表1」を見ると、海洋ごみの中でプラスチック類が全体の74・2%も占め、圧倒的な割合である。「図表2」のごみが分解されるまでの時間では、プラスチックボトルは450年もかかる。また、マイクロプラスチックになるのは薄くて繊細なレジ袋やペットボトルなどである。この二つが太陽光や紫外線、雨風、海水の塩分によりバラバラにされ、マイクロプラスチックとなるのだ。

 これを魚や海ガメ、海鳥、クジラなどが食べる。特に、魚は餌と間違えて食べ、食物連鎖の過程でプラスチックの有害物質が濃縮され、人類に神経系の病気、内臓疾患、がんなどの病気を引き起こす懸念があるとされている。また、2050年には、海洋マイクロプラスチックごみは海の魚の量を上回るとまで言われている。

 そこで私たちは、島根県廃棄物対策課に相談し、平成30年9月から10月にかけて、島根県と鳥取県の海岸10カ所でマイクロプラスチック調査を行うことにした。縦20センチ、横20センチの正方形の区画で、深さ2・5センチを設定し、マイクロプラスチックの数を調査した。

 最初の調査は、比較的きれいな出雲市の(1)稲佐の浜と(2)多伎海岸で行った。このうち稲佐の浜は出雲大社がある大社町の海岸で、観光客が数多く訪れる場所である。地域の人たちも毎週のように清掃を行っておられ、検出されたマイクロプラスチックの数は8個だった。次に行った多伎海岸もよく整備され、マイクロプラスチックの数は11個だった。(下垣光)


細かく砕けた発泡スチロールごみ=出雲市のくにびき海岸
調査結果
目立つ「湊原」と「くにびき」
 地形の構造上すぐ蓄積

 調査は時間的に一日2カ所が限界であるため、日を変えて大田市の(3)波根海岸と(4)五十猛海岸で実施した。ともに漁港もあり、漁師町として有名な所である。結果は(3)波根海岸32個(4)五十猛海岸25個だった。

 別の日に(5)島根半島の東端の美保関海岸(6)西端の日御碕海岸へも行った。ともに地形的に岩場が多く、調査は困難を極めた。結果は(5)美保関海岸47個(6)日御碕海岸49個だった。

 また、宍道湖はどうだろうか、という声が上がり、調査した結果、(7)宍道湖なぎさ公園は7個。さらに鳥取県の(8)境港海岸は12個だった。境港海岸はウインドサーフィンが盛んなため、きちんと清掃してあった。

 次に、出雲市の(9)湊原海岸は59個(10)くにびき海岸は62個だった。いずれも湾になっており、ごみがたまりやすい構造をしている。そのため、私たちインターアクトクラブが毎年2回は清掃を行う場所である。

 この湾は国外のごみやポリタンク、大きな漁具なども数多く流れ着く。しかし、残念なことにほとんど清掃されていないため、汚れ放題である。また、(10)くにびき海岸では粉々になった状態の発泡スチロールを多数目にした。私たちは、このごみが飛散して川や海に流れ、プランクトンと間違えて魚が食べ、さらに、その魚を人間が食べる姿を想像し、恐ろしい気持ちになった。(奥井愛琳)


結論
清掃と削減が重要

 プラスチックの海への流出を減らすためには、海岸での清掃回収活動が極めて重要であると思う。

 調査の結果、(1)稲佐の浜(2)多伎海岸(8)境港市海岸は、プラスチックごみが少ない優良な海岸だった半面、清掃回収活動の少ない(9)湊原海岸(10)くにびき海岸は多かった。この結果から、地域の人たちが、自分たちが住む海岸をきれいにしようと積極的に活動することが重要だと分かった。

 また、海に流入するプラスチックは、陸上に住む私たちの暮らしの中から出てくるものであるため、日常的にプラスチックを減らしていく努力が必要である。

 そのためには今後、(a)レジ袋をもらわない(マイバッグを持参)(b)使い捨てのフォークやストローを使用しない(c)水筒を持参するなどしてペットボトルの利用を減らす(d)過剰包装をしない(e)詰め替え商品を利用する(f)修理して繰り返し使用する(g)中古市などに出す(h)分別・資源回収を徹底する-などの対応が重要だと思う。

 一方、日本政府のプラスチックごみへの対応は大幅に遅れている。世界で無料レジ袋禁止の国は83カ国に上り、ストローなど特定の使い捨て製品の使用を禁止している国も27カ国あるのに、日本は世界有数の使い捨てプラスチック消費国なのである。

 アメリカの先住民の言葉に「我々は子孫から大地を借りて生きているのだ」というのがある。私たち人類は、未来の世代から借りている、この地球を汚さずに返す責任があるのだ。

 私たちは全国の高校生に呼び掛け、この調査を全国展開する決意である。そして、世界的には脱プラスチックへの転換が必要だと思う。環境負荷の少ない、プラスチックに代わる代替品を真剣に開発する努力を、早急にするべきだと私たちは考える。(片寄虹乃葉)

※文中○囲み数字と連動


韓国の中高生とごみ問題について活発な討論を行う部員たち
クラブの活動紹介
3本柱に据え内外で交流
 「奉仕」「国際理解」「環境保全」

 「出雲西高等学校インターアクトクラブ」は、出雲ロータリークラブがロータリーの理念に基づき、出雲西高の生徒に奉仕を行う機会を与えるために結成した組織です。現在(1)地域社会への奉仕(2)国際理解(3)環境保全活動の三つを柱に据えて活動しています。

 「地域社会への奉仕」では、老人ホームでの花植えや障がい者支援施設でのクリスマス会、喫茶店開設などを企画して、利用者の方たちに楽しんでいただいています。また、保育園の子どもたちを出雲西高農園へ招待し、私たちが育てたジャガイモやサツマイモ掘りをし、無農薬野菜を調理して楽しんでいます。

 「国際理解」では、韓国の中高生と共に出雲市周辺の海岸清掃を行い、海洋ごみやマイクロプラスチック問題について討論会を行っています。また、フィリピンを訪れて発展途上国の実情を知り、フィリピンの小学生の里親となり、学校に通学できるよう援助し、文房具なども送っています。

 「環境保全活動」では、EM菌という微生物を使い、出雲大社北島国造家の池や赤川の浄化活動を行っています。また、地球温暖化防止のため、NPO法人「もりふれ倶楽部」と協力し、二酸化炭素を吸収してくれる豊かな森林を作るよう、間伐や枝打ち、植林活動を行っています。

 このほか、神戸川漁協の皆さんとサケのふ化事業にも取り組み、今年3月には1500匹の稚魚を幼稚園児と共に放流しました。また、しまねエコライフサポーターズ出雲支部の皆さんと共に、地球温暖化防止、出雲市のごみの減量化についての活動も積極的に行っています。

 こうした業績が認められ、本年、生涯学習振興財団主催・読売新聞西部本社共催の「高校生小論文コンクール」のグループ部門で最優秀賞、また、フジサンケイグループ主催「地球環境大賞」では奨励賞を受賞することができました。今後は、地球規模で汚染が拡大するマイクロプラスチック問題に挑戦していきたいと思っています。(飯島章太)


学校紹介
特別進学 福祉 ビジネス
 個性あふれる3コース

 出雲西高には「特別進学」「福祉」「ビジネス」の三つのコースがあります。

 「特別進学コース」は、大学進学を目指して学習するコースで、生徒一人ひとりの学力や進路に応じた、きめ細かいサポートが受けられます。また、有名な予備校の先生と本校の先生がコラボした指導が受けられる課外講座は、他校にはない本校の魅力です。

 「福祉コース」では、社会の一員として身近な諸問題に関心を持ち、その解決に取り組む姿勢や力を身に付けることを目指して学んでいます。2年生になると介護・保育・環境の三つのコースに分かれ、学びを深めます。各コースとも施設実習やフィールドワークなどの体験型授業が充実しています。

 「ビジネスコース」では、企業での会計処理や、コンピュータソフトを活用するための知識・技術を学びます。簿記や情報処理検定の合格に向け、先生方の手厚いサポートを受けることができます。

 部活動は運動部が12、文化部が9あり、各部が意欲的に活動しています。

 毎日の学習や部活動などの取り組みを通じて、さまざまな力を磨くとともに、主体性を伸ばし、未来の社会に貢献できる人間として成長できるよう、私たち出雲西高生は頑張っています。(槇原美咲)


編集にあたった部員たち
編集後記

 私たちは今回、マイクロプラスチックの問題について発表させていただきました。

 部員の仲間と話をすると、世界の動きは今や脱炭素社会、脱プラスチック社会です。しかし、日本は依然として低炭素社会、低プラスチック社会という表現を使い、ごまかしているのに過ぎないと思います。もっと地球温暖化問題やプラスチックごみ問題にも真剣に向き合わないと、国際社会の中で生き残っていけないと思います。

 私たちは、マイクロプラスチック問題の弊害を世界の人々に発信するよう、部員一同団結し、全国の高校生に呼び掛け、マイクロプラスチック調査を開始したいと思います。そして、インターアクトクラブはこれからも環境問題を中心に新たな挑戦をしていきたいと思います。(加藤蓮)


 <お知らせ>
 私たち出雲西高校インターアクトクラブは、しまねエコライフサポーターズ出雲支部の皆さまとともに、今年の11月17日(日)午後1時から、ニューウェルシティ出雲で「地球温暖化防止の講演会」を開きます。私たちの発表もあります。ぜひご来場ください。

2019年7月29日 無断転載禁止

こども新聞