祈りの桜 福島から松江へ 市内13寺院 思い寄せ育む

福島県三春町から送られた滝桜を育てる海禪寺の園山大寛住職=松江市鹿島町古浦
 日本三大桜の一つと称される「三春滝桜(みはるたきざくら)」がある福島県三春町で暮らす男性が、滝桜の種から育てた苗木を松江市内の寺院に贈った。苗木は分けられ、市内13カ所の寺院で大切に育てられている。東京電力福島第1原発事故で郷土を奪われた福島と、県庁所在地に原発を抱える松江。男性は「あんな思いをするのは私たちだけで十分。二度と事故がないように祈っている」と、滝桜に込めた願いを語った。

 「福島櫻(さくら)21074(にどなし)実生植樹会」の代表を務める自営業、厚海(あつうみ)幸雄さん(70)が、自身が臨済宗の檀家(だんか)であることや、犠牲者を弔う意味で、臨済宗妙心寺派の萬壽寺(まんじゅじ)(松江市奥谷町)に40~60センチ程の苗木16本を贈った。推定樹齢千年以上とされ、無数に咲く花が流れ落ちる滝のように見える滝桜の種を拾って育てたという。

 同寺住職の古賀■(泰の旧字体)道(たいどう)さん(44)は趣旨に賛同し今年3月、苗木を境内に植えた。檀家たちは「花見ができる頃には、福島が復興しているのではないか」と口々に語り、被災地に思いを寄せているという。

 古賀さんは同派の市内12寺院に苗木を配布。中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)に近い海禪寺(かいぜんじ)(同市鹿島町古浦)の園山大寛住職(69)は「事故が起きないように」と願いながら、水やりを欠かさない。

 東日本震災による死者、行方不明者、関連死者は約2万2千人に及ぶ。原発事故でふるさとを追われた人も多い。厚海さんは犠牲者と同じほどの数の苗木を送る計画で、現在、各地に6千本近くを届けており「福島のような悲しい事故がないよう、滝桜が島根を守ってほしい」と話している。

 希望者には無償で苗木を贈る。問い合わせは厚海さん、電話024(971)3312。

2019年7月26日 無断転載禁止

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