戦いの実相 19参院選を終えて (上)自民、高揚感なき勝利

当選報告会で、安堵(あんど)の表情を見せる自民党島根県連の青木一彦副会長(左から2人目)と舞立昇治氏(中央)=21日、松江市千鳥町、ホテル一畑
 関心高まらず低投票率

  問われる政策実現と変革

 21日投開票の参院選鳥取・島根合区選挙区(改選数1)は、自民党現職の舞立昇治氏(43)が野党統一候補で無所属の中林佳子氏(73)ら2新人に圧勝し、再選を果たした。2016年の前回選に続く合区選挙は与野党に何を突き付けたのか。戦いの実相に迫る。

 投開票翌日の22日、鳥取市内であった舞立氏の当選報告会。終了後、自民鳥取県連の石破茂会長(衆院鳥取1区)の表情はさえなかった。開口一番、「合区はとにかくやめにしなければ駄目だ」と吐き捨てるように言った。

 背景には鳥取県の投票率があった。実質的な「鳥取県代表」を確保するため、比例代表に元鳥取市長を擁立した前回選の投票率は過去最低の56・28%を記録。今回は49・98%まで下がり、2回連続で東京都を下回った。

 鳥取県日吉津村出身で党現職の舞立氏を擁立しながら低下した衝撃は大きい。8日間、地元に張り付いた石破氏は「有権者が候補の話を聞けない。個人演説会もほとんどできない。主権者を大切にする選挙の原則に反している」と恨み節を続けた。

 東西約320キロと広大な選挙区で、舞立氏は知名度が不足する島根側での活動に傾注。野党第1党の立憲民主党などが候補擁立を断念したことも要因とみられるが、足元でも異変が起きていた。

 自民鳥取県連の野坂道明政調会長は選挙戦中盤、支援要請に出向いた米子市内の建設会社の幹部から「初めて頼まれた」との声を聞き、がくぜんとした。

 舞立氏が優勢との見方もあり、党所属地方議員や党地域支部の動きは最後まで鈍かった。野坂政調会長は「慢心、気の緩みがあった」と吐露。党員の高齢化や若年層の政治への関心の薄れなどを挙げ、「放っておくと組織が駄目になる」と危機感を募らせる。


保守分裂のしこり

 島根県連も高揚感は乏しい。県内全19市町村で舞立氏が勝利したものの、投票率は54・04%で過去最低となった。

 前回選は鳥取側が党現職のいた島根側に協力。島根県連幹部が「恩返しする」と語ったものの、保守分裂選挙となった4月の島根県知事選のしこりが残り、県連で選挙対策本部を組めず、集票を委ねた旧59市町村単位にある党地域支部には活動に濃淡があった。

 党川本支部では党員約170人のうち、参院選前に23人が離党。飯田武則幹事長は「国会議員と接する機会が減り、顔がなかなか見えず、国政選挙だからと積極的に支える雰囲気ではなくなった。若い人に党費を払ってまで党員になってもらうのも難しい」と漏らす。

 得票数に関係なく優先的に当選できる「特定枠」が定数増を伴って比例代表に新設された今回の選挙。県連青年局長の三浦靖氏(46)が初当選し、実質的な「島根県代表」を確保する一方、特定枠候補は有権者に直接政策を訴えることができず、県連内では「より関心が低下した」との声が上がる。

 さらに、県内の党員からは知事選の総括と組織の変革を求める声が相次ぐが、食道がんで療養中の竹下亘県連会長(衆院島根2区)の復帰時期はずれ込み、県連大会の開催時期は見通せていない。


口そろえ合区解消

 投開票日の当選報告会で、舞立氏は「山陰地方の発展のために全力を尽くす」、三浦氏は「『地方創生』を島根からつくり上げるのが使命だ」と強調。口をそろえて合区解消や東京一極集中の是正に取り組む考えを示した。

 関心低下に直面した今回の戦い。組織の立て直しや選挙戦で誓った政策を実現できなければ、党員だけでなく、有権者の政治離れはさらに進むことになる。

2019年7月24日 無断転載禁止