議論深めて 改憲、人口減、社会保障 山陰の有権者

参院選の結果を報じるニュースに見入る市民=松江市末次町、市役所
9条論点明確に/過疎防ぐ治水を/老後の生活不安

 参院選の投開票から一夜明けた22日、山陰両県の有権者が憲法改正や人口減少対策、社会保障の充実などで、議論の深まりをあらためて求めた。

 安倍晋三首相は今秋の臨時国会で、9条に自衛隊を明記する改憲の論議を始めるよう野党に提起する方針だ。

 海上自衛隊OBで、島根県隊友会の浜村聡平田支部長(58)=出雲市平田町=は中国やロシアなど軍事大国の存在を脅威とし「9条明記による抑止力の強化を急がないといけない」と強調。安倍首相は国民投票で信を問う「最後の賭け」に出ると予測し、「野党も現実の脅威を認識して、反対ばかりでなく議論すべきだ」と求めた。

 一方、明記に反対する島根大の牧田幸人名誉教授(77)=倉吉市、国際法=は与野党で議論を展開して国民に判断材料を示す必要性があると指摘。「何が問題か、どこが論点かを説明しないといけない」と語る。改憲に対する国民の関心度が低い現状を踏まえ、「日常の暮らしと深く関わる憲法を、国民も自分の問題として関心を持ち、考えていく努力が大事だ」と訴えた。

 人口減少対策も待ったなしだ。昨年7月の西日本豪雨で浸水被害に遭った、江津市桜江町川越の住民組織「川越まちづくり協議会」の中村征雄会長(78)は「堤防を早く整備してもらわないと、過疎化が進んでしまう」と危ぶむ。河川堤防が整備されていない箇所から水があふれた。

 川越地区ではたびたび、近くを流れる江の川が氾濫した。30年前に千人を超えた人口は現在、約540人。少子高齢化のほかに、水害が人口流出のきっかけになっているとして、中村会長は早急な治水対策を望んだ。

 女性の社会進出を応援する市民団体「STAY(ステイ) GOLD(ゴールド)」の樋原里香代表(47)=松江市秋鹿町=は老後の暮らしが気になる。「私たちは年金をどれだけもらえるのか。本当に備えは2千万円で足りるだろうか」。老後に夫婦で2千万円が必要とする金融庁審議会報告書問題で、年金だけでは足りないと思い至り、不安を募らせる。

 同団体は、子育てや介護で仕事のキャリアを中断する女性が多いとし、時間の融通が利き、家庭と両立しやすいフリーランスの働き方を提案する。蓄えのためにも、女性が生涯働ける環境を求める。保育所や介護施設を充実させ「(一度退職しても)再挑戦できる仕組みを作ってほしい」と注文した。

 中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)2号機の再稼働、3号機の新規稼働の行方も注視される。推進の立場から、鹿島町御津地区の田中源一区長(70)は安全対策の充実を前提に、国にスピード感のある判断を求めた。

2019年7月23日 無断転載禁止