広がる選挙区 見えぬ候補 両県投票率過去最低 関心の高さ 過去のものに

開票作業を進める出雲市職員ら=出雲市今市町北本町3丁目、出雲体育館
 21日投開票の参院選で、島根、鳥取両県の投票率がそれぞれ過去最低を更新した。特に、49・98%で5割に達せず、都道府県別で19位となった鳥取県は、2016年の前回選に続いて東京都(51・77%)を下回る結果になった。与野党の地方組織に圧倒的な地力の差がある中、合区の導入で候補の存在が遠のいたことが背景にある。ほとんど代わり映えしない構図での選挙が続くなど、複合的な要素が絡み合い、このままでは投票率の低下を招く負の連鎖は止まりそうにない。

 山陰両県38市町村で最も投票率が低かったのは、鳥取市の44・98%で、16年の前回選と比べて7・35ポイントも低下した。

 元鳥取市長が「県代表」を目指して比例代表に立候補した前回選と違い、今回は鳥取・島根合区選挙区、比例代表のいずれにも鳥取県東部の出身者がいなかったことが一因とみられる。

 加えて、選挙区面積の拡大が引き続き影響した。合区選挙区で再選した自民党の舞立昇治氏(43)の遊説に同行した鳥取市議会の山田延孝議長は「時間がない選挙はいけん」と嘆息。地元の同市河原町で与えられた持ち時間は、選挙期間中の17日間でわずか1時間半で、予定した遊説コースの短縮を余儀なくされ、有権者に十分に「顔見せ」することはできなかった。

 投票率の低下について舞立氏は「合区が導入された3年前から分かりきったこと。やむを得ない」と振り返ったが、準地元といえる米子市でも7・35ポイント減の48・09%にとどまった。「地方は都会地に比べて選挙に対する関心が高い」という認識は、過去のものになりつつある。

 保守分裂となった4月の島根県知事選の影響が続いているとはいえ、地方組織の「自民1強」が続く構図も、有権者の関心をそいだ要因と言えそうだ。直近の知事選を含め、これまでほぼ欠かさず投票してきたという浜田市三隅町湊浦の団体嘱託職員の女性(36)は「投票するなら保守系候補(舞立氏)だと思ったが、自民党が勝つだろうという感じだったので今回は行かなかった」と打ち明けた。

 都道府県別で6位だった島根県(54・04%)を含め、低下の一途をたどる山陰両県の投票率。鳥取大地域学部の塩沢健一准教授(地域政治学)は「どこかで底を打つだろうが、現状のままでは下落が続く」と推察し、突破口が見つからないままとなっている。

2019年7月23日 無断転載禁止