医院跡を交流カフェに 邑南・宇都井 住民発起 改修資金募る

旧服部医院の前で住民と活用策を話し合う井上英司代表(右)
 住民を支えた地域医療の場を再生し、活性化につなげたい-。旧羽須美村宇都井(現邑南町宇都井)で約60年にわたって住民の健康を守り、1983年に閉院した服部医院跡の建物を改修し、交流拠点にしようという取り組みが住民主体で始まった。建物の老朽化で250万円という大きな浄財が必要となるが、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)で広く呼び掛け、同時に関係人口の拡大を図る。

 服部医院跡は「天空の駅」として、全国に名前が広まった旧JR三江線宇都井駅の近くにある。

 1924年、無医村に近い状態だった宇都井の住民が、地元出身で東京女子医学専門学校(現東京女子医大)を卒業した服部世津子さんを村医として迎える際、協力して木材を集めて建てた。

 服部さんは気丈に診察を続け、住民から厚い信頼を得た。医院は住民と服部さんの思いが込められた大切な場所だったが、服部さんは83年に病気で急逝し、建物は空き家になっていた。

 医院跡は木造平屋の約160平方メートルで、診療室や待合室、客間などがそのまま残っていた。親族は解体を検討していたが、酒造会社蔵(くら)人(びと)の井上英司さん(58)=邑南町宇都井=をはじめ、住民有志が有効活用しようと声を上げた。

 6月、有志で「旧服部医院を再活用する会」を設立し、医院として使っていた部分を、交流カフェ「うづい通信部」にする計画を立てた。交流スペースの一部には、邑南町から宇都井駅の管理を委託されたNPO法人「江の川鉄道」が事務局を置く。

 出資した人に関係人口となってもらうのも一つの狙いで、改修作業を手伝う企画も用意しているという。

 井上さんは「宇都井を訪れるきっかけになればうれしい。住民の健康を守ってきた大切な場所を、今度は住民で守っていきたい」と願いを込める。CFのサイトは「FAAVO(ファーボ)島根」で、12日からアクセスできる予定。

2019年7月9日 無断転載禁止

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