石見銀山に芸術の彩りを 大田にステンドグラス作家2人移住

新たに構えた工房で制作活動への意欲を示す釜池美智子さん(左)と松田日出雄さん
 世界遺産・石見銀山遺跡の中核地域、島根県大田市大森町に日本人のステンドグラス作家2人がフランスから移住し、工房を構えた。松田日出雄さん(75)=東京都出身=と釜池美智子さん(49)=大阪府出身=で、大森町に自宅を構える音楽家との交流が縁となった。事業所跡を改修した工房に加え、作品を展示するショールームも追って開設する予定で、歴史と文化の町に芸術の彩りも加えようと意気込む。

 フランス中部に工房を構え、制作に注力してきた松田さんと釜池さんは、自宅のある大森町と音楽活動の拠点であるパリを行き来するバイオリン奏者・破魔澄子さんとの交流が縁となり、2018年7~10月に展示会を同町内で開催。その際に歴史的な町並みや、町を挙げた地域づくりの取り組みに引かれ、工房を移すアイデアが湧いた。

 地元の義肢装具メーカー・中村ブレイスの中村俊郎会長たちの協力を得て、事業所跡に工房を開設。制作に必要な電気炉やガス窯といった機材もフランスから運び込んだ。さらに工房から約100メートル離れた店舗跡を住居とし、作品を展示するショールームも併設する構想を膨らませる。

 慌ただしく、落ち着かない中、広島県三次市の「はらみちを美術館」でこのほど、2人の展示会も開幕した。7月7日までの期間中は三次市へ行き来するため、大森町で本格的に制作に打ち込めるのはもう少し先になりそうだ。

 それでも、新生活への期待感に表情を緩ませる2人。釜池さんは、母親が江津市出身ということもあり「(移住先が)島根でなければ、フランスから来ることはなかった」と話すほど、新天地にこだわりと強い縁を感じている。

 一方、自らの作品づくりと並行し、制作者を志す後進を大森町で育成する夢も抱く松田さん。「多くの人が大森に集うことで交流や、にぎやかさも生まれる。自分の仕事を通してこの地域のお役にも立ちたい」と言葉に力を込める。

2019年6月29日 無断転載禁止

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