世事抄録 「出雲と大和」展と関係人口

 島根を離れた私のようなものは、帰郷の折、人口減の話になると居心地が悪い。

 さて来年の1月から東京国立博物館で、日本書紀成立1300年を記念した「出雲と大和」展が開催される。多くの方が見学するだろう。なかには旅行をする方もいる。そこで思うのが、展示会や講演会の参加者が、その場で終わるのでなく旅行や勉強など次のアクションに移す、そんな仕組みや見える化ができないかだ。県では検討されているだろうが、人口減で肩身の狭い思いをする私も考えた。

 まず展示会や講演会は啓蒙(けいもう)の場だけでなく、参加者が島根を旅行する気づきの場でもあることをビジョン化し、行政の全部門や地域・学校でも共有する。次に関係人口の考えだ。関係人口とは、地域にルーツのある方、ふるさと納税の寄付者、スキルや知見を有する人で、地域や人々と多様に関わる人のことだ。

 展示や講演に感動し、もっと知りたい、関わりたいと考える人もいる。だが自分のスキルでいいのか、地域の考えはと不安は多い。まずこの層との関係だ。一方的な発信では心に届かない。彼らの思いに飛び込み、彼らの視点でマーケティングし、課題や夢を引き出す。もちろん地元の考えもある。共に考え理解し合うことで、島根への関心が次のアクションとなり関係人口となる。こんな関係が定着すれば、私も気兼ねなく人口減を語れるわけだ。

(埼玉県在住、島根県奥出雲町出身・鬼灯)

2019年6月13日 無断転載禁止