特派員便り 苦い経験プラスに変えて

男子シングルス準々決勝で敗れ、コートを後にする錦織圭選手=パリ(共同)
 1989年6月、錦織圭選手のコーチ、マイケル・チャン氏が全仏オープンの男子シングルス4回戦で、当時世界ランキング1位のイワン・レンドル選手をセットカウント0-2からの逆転で破った。勢いに乗って駆け上がり、史上最年少の17歳3カ月で四大大会制覇を成し遂げた。

 まだ生まれていなかった錦織選手。1回戦後の会見ではユーモアを交えながら、「17歳で優勝するのは今では全く考えられない。本当にすごいなと思う」と話したのが印象的だった。

 あれから30年後。錦織選手は疲労の影響もあって準々決勝で完敗し、節目の大会を優勝で飾ることはかなわなかった。見守るチャン氏の表情はサングラスで分からなかったが、力なくコートを去る姿はどう映っていたのだろうか。

 チャン氏をコーチに招いて5年半。世界トップ10入り、四大大会準優勝など多くの歴史をつくってきた。師が偉業を達成した大会での苦い経験をプラスに変え、再び新たな道を切り開いてほしい。

 =おわり=

2019年6月7日 無断転載禁止