アキのKEIルポ ジュニアの新星と直前練習 新たな着想求め模索

 4回戦の直前練習で錦織がボールを打ったのは、日本人の少年だった。

 同じIMGアカデミーを拠点とする望月慎太郎は、錦織同様に盛田正明テニスファンドの支援を受け、3年前から渡米した新星。日頃同じ拠点にいても、2人が練習することはほとんどない。それでも錦織は、今回が初のグランドスラムジュニア参戦の望月を練習相手に指定した。なおその日は、望月の16歳の誕生日でもあった。

 大会開幕直前には、予選から参戦の奈良くるみの試合を見て「良いインスピレーションになった」と言った。奈良が初戦で勝った後には、本人に宛てた「おめでとう」のメッセージに、「良いイメージをもらった。ありがとう」と書き添えていたという。

 29歳を迎えた今、錦織はプレースタイルの模索も含め、新たな刺激や着想を求めている感がある。選手の中にはそのような時、環境の一新や周囲と距離を取るという選択を取る者も居るだろう。

 だが彼には、そのような手法は恐らく肌になじまない。周囲に優しく、先入観などを持つことなく心に響く情報を取り入れ、それらを次のステップの足がかりにする。全豪に続きベスト8となった今回の全仏では、そんな錦織流で殻を破ろうとする彼の姿が見えた気がした。

 (フリーライター・内田暁)

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2019年6月6日 無断転載禁止