きらめく星 「令月」って どんな月

「梅花の宴」の日の月と同じ形の月=4月17日、出(いず)雲(も)市西新町で撮影(さつえい)
何事をするにも よい月

 元(げん)号(ごう)が変わって令(れい)和(わ)になりました。令和は、万(まん)葉(よう)集(しゅう)という古い歌集に書かれている「初春の令(れい)月(げつ)にして、気(き)淑(よ)く風和(やわ)らぎ…」が元になっています。これは、奈(な)良(ら)時代に九州の大宰府(だざいふ)で「梅(ばい)花(か)の宴(うたげ)」と呼(よ)ばれる宴(えん)会(かい)が開かれたときの様子を、「春の初めのめでたい正月は、空気がきれいで風もおだやか」だと表したものです。

 令和の「令」はここに出ている「令月」から取られたものです。令月は「良いひと月」という意味で、もともと中国では2月のことを指しましたが、ここでは宴会のあった1月をめでたいひと月だといっています。

 ところで、この宴会のあった日の夜には、晴れていればですが、空に月が出ていました。なぜ分かるかというと、日にちがきっちりと書いてあったからです。それは、天平2年1月13日、西(せい)暦(れき)でいえば730年2月4日のことでした。

 昔の日本で使われていた暦(こよみ)、いわゆる旧(きゅう)暦(れき)は、西暦とは違(ちが)い、月の形をもとにして作られていて、月がまったく見えない新(しん)月(げつ)の日が1日になるように決められていました。月はおよそ30日ごとに満ち欠けを繰(く)り返しますので、15日ごろにはいつも満(まん)月(げつ)が見られるようになります。宴会は13日でしたから、その晩(ばん)は満月より少し前の、かなり太った月が出ていたはずです。

 今月、5月17日の月を見てください。夕(ゆう)暮(ぐ)れ時には、もう東の空に現(あらわ)れています。この日は旧暦では4月13日にあたるので、令和の元になった宴の日と同じ形の月が見られます。

 「令」には「美しい」という意味もありますので、このような明るくて形の良い月を「令月」と呼ぶのもいいかもしれませんね。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)

2019年5月15日 無断転載禁止

こども新聞