銀河のかなたとの対話

 SF映画が大好きだ。特に気に入っているのが宇宙を舞台にした「インターステラー」。異常気象で危機に陥った地球を救うため、宇宙飛行士チームが別の銀河を目指す。壮大なスケールの物語に、見るたび心が躍る▼2014年の公開時、アインシュタインの一般相対性理論などに基づいて科学的にブラックホールの描写に挑戦したことも注目された。終盤に登場する巨大ブラックホールは黒い塊の周りを光の輪が覆っていた▼約5年後の今年4月10日夜、世界中の人が歴史上初めて「本物のブラックホール」の撮影画像を目にした。偉業を成し遂げた研究チームの中心メンバーは、松江市玉湯町出身で国立天文台水沢VLBI観測所助教の秦和弘さん(35)。ブラックホール研究の若き権威だ▼プロジェクトは映画のように壮大だ。世界各地の八つの巨大電波望遠鏡を連携させ、地球規模の口径約1万キロの望遠鏡を仮想で作り出した。捉えたブラックホールは地球からの距離5500万光年、質量は太陽の65億倍。スケールが大きすぎて想像が及ばない▼秦さんいわく、人類が到達できない宇宙のかなたへ向けた研究は「天体の秘密を少しずつ教えてもらいながら話をする感じ」という。今後もさらにブラックホールの謎に迫る。最終目標を聞くと、「好奇心がある限り研究は続く」との答え。宇宙との対話がまた新たな発見を私たちに届けるだろう。(築)

2019年4月19日 無断転載禁止