働き方改革関連法施行/長時間労働を見直そう

 働き方改革関連法が施行された。青天井だった時間外労働(残業)に初めて罰則付きの上限規制を導入。年休のうち最低でも5日取得させることが企業の義務となった。

 少子化で若者が減っており、介護を抱える人や子育て中の人、高齢者らが働きやすい環境の整備は不可欠だ。長時間労働の横行は許されず、仕事の見直しは待ったなしだ。多くの企業が既に働き方改革に取り組んでいるが、まだ不十分だ。労使でさらに知恵を絞ってほしい。

 残業時間は1カ月100時間未満、2~6カ月平均で80時間以内と定められ、違反すると企業や労務担当者に罰金などが科される。100時間を大幅に上回る長時間の残業を強いられ、過労死や過労自殺に追い込まれたケースは後を絶たない。上限規制で働き過ぎの抑止効果が期待できる。

 ただ、月100時間は「過労死ライン」とされる労災認定基準と同水準で依然、長い。政府や企業は今後、上限時間を下げる努力をするべきだ。サービス残業のような脱法的行為も許されない。

 過労死防止で効果が期待されるのが勤務間インターバルだ。終業時間と次の始業時間との間に例えば11時間といった一定の休息時間を設ける制度で、導入を企業の努力義務とした。ただ厚生労働省の調査で、導入企業は2%程度にすぎない。人手不足などが障壁とされるが、可能な職場で始め、課題を探りながら導入機運を高めたい。

 日本は米国などと比べ正社員の解雇規制が厳しく、いったん雇うと雇用調整が難しい。このため繁忙時は社員の残業増などで対応し、長時間労働になりやすいとされる。

 若者の数が減り、企業は深刻な人手不足に陥っている。長時間労働が常態化する職場は採用に不利だ。疲れた体や頭を使って働いても、良いアイデアや商品は生まれない。労働時間の短縮は働く人だけでなく、企業にもメリットが大きい。

 一部の専門職を労働時間規制や残業代支払いの対象外とする高度プロフェッショナル制度が創設された。働く時間と成果が一致しない仕事が増え、経済界が求めていた。働く人がいつ、どれだけ働いても休んでも自由とされるが、「長時間労働を助長する」と野党や労組が反対してきた。

 政府は年間休日を104日以上とするなど対策を講じたとするが、不十分との声は多い。年収1075万円以上など現状では適用条件が厳しく制度の利用は少なそうだが、法律以上の手厚い健康対策を企業に求めたい。

 残業時間規制は4月から大企業に適用され、中小企業は1年遅れとなる。大企業が仕事の見直しを進めた結果、下請けの中小企業に業務量増加などのしわ寄せが出ることが懸念される。下請けいじめと言われるような事態がないよう、大企業の節度ある対応や政府の監視が必要だ。

 働き方改革は、単に仕事が楽になればいいというものではない。経営環境は厳しさを増し、競争は激化している。効率的に働き、限られた時間で成果を出すにはどうしたらいいのかを労使が考える良い機会だ。無駄な会議の廃止やITを活用した業務の効率化など働き方の工夫をさらに進め、効率化の成果を賃上げにつなげることが重要だ。

2019年4月10日 無断転載禁止