ペンと乳(33) 職場復帰

勤務終え家事、育児と格闘

 「よし、行くか…」

 午後5時半。新聞社はまだまだ働き盛りの時間帯。皆にあいさつし、タイムカードを押すと、頭は母モードに切り替わる。冷蔵庫の中身を想像して作るものを決め、帰宅後の段取りをイメージ。仕事のことは一瞬で消え去る。昨年5月、約1年ぶりに職場復帰した。

 保育所でわが子と再会。自然と顔がほころぶが、抱っこするとずっしり、仕事帰りの身にはこたえる重み。仕事のかばんと保育所かばんと子を抱え、帰路につく。

 保育所から持ち帰るのは主におむつごみと洗濯物。おむつの袋を開いて枚数を確認する。うんち1回、おしっこ4回の場合、翌日用に記名したおむつ計5枚と、うんち用の記名ポリ袋を用意。使った食事エプロンや着替えた服を入れた袋も開いて数を確認し、翌日用に同じ数を補充する流れだ。洗濯物は予洗いしてあるのでぬれた状態。放置するとカビてしまうので早めに洗濯しなくては。

 並行して夕食準備だ。大人用と離乳食。これがなかなか進まない。子が構ってほしいと泣いたり、つかまり立ちをして危なかったりして、たびたび中断する。

 帰宅して座れる時間がない。本当はトイレも行きたいしお茶も飲みたい。夕食が無事できても、食べさせて入浴させ、寝かし付ける仕事も待つ。洗濯物も干さなければ。意識が休まる瞬間がない。

 家って、休むところだったのになあ。平日はこの通りだし、休日は終日、育児という仕事がついてくる。家で全力を発揮しなくては日々が回らない。正直、座ってお茶が飲めて、トイレにもすぐ行ける、職場のほうが楽だと感じてしまう。仕事が「息抜き」になるなんて、想像もしなかった。そんなことを言ったら怒られるだろうか。

 「お先に失礼します」は帰宅への幸せな言葉だったが、今は「戦いの始まり」の合図になっている。

2019年3月9日 無断転載禁止