ペンと乳(29) 冬のふさぐ気持ち

 孤独感につぶされそうだ

 昨年の今頃は今年と違って豪雪だった。子どもと2人きり、ずーっと家にいる日々が続き、気持ちが沈みがちになっていた。

 子どもは、ぐずっては泣き、乳を吸わせると眠り、布団に置くとまたすぐ起きてぐずる…の繰り返し。まだ1人では遊べない。ご飯を用意しようと、暖かい居間に子どもを残して部屋を出ると「エーン」と泣き叫ぶ。「台所は寒いけんそこで待っちょくだわね~」と話し掛けても伝わらない。

 仕方なく、バウンサー(ゆりかご風の椅子)を台所へ持って行き、そこに乗せて、毛布を掛けて保温。「よし、ご飯作るけんね」と声を掛けても「?」という表情。むなしさが募る。あ~、無性に大人と話したい。外はびゅうびゅう寒そうな風が吹いていて、雪は深々と積もり始めた。1人でいるわけじゃないのに、孤独感につぶされそうだった。

 産後の体の変化で、髪の毛がごっそり抜ける症状があった。妊娠中は、女性ホルモンが増えるので髪の毛が抜けにくいが、妊娠期間に抜けなかった髪の毛が産後一気に抜けるらしい。しかも一気に生えるので、全体的に短い毛がぴょんぴょんし始めていた。

 しかも、気づかないうちに体重も激減。入浴中、尾骨が浴槽の底に当たるのが痛くて気がついた。数カ月ぶりに体重計に乗ると、妊娠前より6キロ減。食べたものが母乳になって吸い取られるからか。髪の毛も滑稽だし、体は痩せ細った。理想の「元気なお母ちゃん」からは程遠い風貌に、みじめな気持ちになった。

 そんな話を、誰かに聞いてほしかった。でも昼間はみんな仕事で忙しい。子どもに「聞いてよ~」と話し掛けても知らん顔。外は雪が降り続いていて散歩もできない。一体いつまでこんな日々が続くのか…。出口の見えない、真っ暗なトンネルを歩いている気分だった。

2019年2月9日 無断転載禁止