ブリ文化圏

 島国日本は漁業、魚食とも盛んで、特にマグロ好きはよく知られる。その中で山陰両県はマグロより、ハマチを含むブリを好む「ブリ文化圏」と聞く。日本海側は富山以西がブリ文化圏、新潟以東がサケ文化圏とされ、マグロは関東など太平洋側で好まれるとか▼総務省家計調査によると、2015~17年の全国平均で1世帯当たり年間購入量の多い魚介類は(1)サケ(2)マグロ(3)ブリの順。都道府県庁所在地別だと、松江市は(1)ブリ(2)アジ(3)シジミ、鳥取市は(1)カレイ(2)ブリ(3)イカとなる。ブリ購入量ランキングでも松江3位、鳥取7位と屈指のブリ好きの地だ▼筆者はサバ好きなので実感が湧かないが、年末に境港水産物直売センターを訪れると、迎春準備の買い物客が大きなブリを手にし、店員は「山陰の正月に欠かせない」と言う。同僚からは「松江では贈り物にする風習がある」と聞いた▼そのごちそうの座が揺らいでいる。回転ずし店で「トロ祭り」などと銘打ち前面に押し出すのはマグロ。一緒に行った妻や娘もマグロに手を伸ばしていた▼「蟹(かに)取県」を名乗る鳥取県は、県内で養殖した「お嬢サバ」「境港サーモン」のPRにも力を入れており、ブリは影が薄い。真価を発揮する冬場に名物の松葉ガニと競合して「陰に隠れてしまう」(県水産試験場)というブリが、何だか気の毒になった。ブリ文化圏らしいアピールの方法はないだろうか。(志)

2019年2月7日 無断転載禁止