喪主は東奔西走/ワンストップサービスを

元JC総研客員研究員 黒川 愼司

 母の突然の死から間もなく2カ月が経過します。とにかく慌ただしい、正月をはさんでの2カ月でした。墓のある江津へは3回も行きました。

 葬式は、葬祭センターの支援を得て、無事に執り行うことができました。ここまでは気が張っていて、寝不足にも何とか耐えられました。葬儀後、少し休みたいと思ったのですが、待ってくれない手続きが次々とありました。

 まず市役所での健康保険、介護保険などの手続き。続いて母の年金停止の届け出に松江年金事務所にも出向きました。

 さらに待っていたのが葬儀費用です。母は貯金通帳に付箋をつけて、この貯金で葬儀一式を賄えとのメモを残してくれました。しかし、金融機関が口座を凍結して払い出しができなくなりました。

 今回、自分名義で備えても口座が凍結され、使用できないことがよく分かりました。葬儀費用を残すとすれば「タンス貯金」がベストかなと思いました。

 次にこの口座凍結で困ったのが、母名義の口座で電気代などの振り替えができなくなったことです。このため新たな振替口座の指定の手続きをすることを急ぎました。しかし、九つの支払い先の手続きは、それぞれ異なり、疲れた体には極めて煩雑で重労働でした。

 なぜ金融機関は貯金を凍結するのか、理不尽だと思いました。そこで「貯金を凍結する、法的根拠があるのですか」と窓口で憎まれ口をたたきましたが、軽くいなされました。

 どうあれ、凍結された貯金の受け取りのためには、相続の手続きを粛々(しゅくしゅく)と進める以外にありません。

 不動産の相続登記があるので、遺産分割協議書の作成も併せて司法書士に依頼しました。しかし、必要な書類はこちらで準備することとなります。

 母の誕生以降の戸籍謄本が必要となりましたが、母の本籍地は江津市にあり、江津市役所へ行きました。また、関東在住の弟たちの印鑑証明や戸籍抄本も必要で、相続手続きは終わっていません。よってまだ口座は凍結されたままです。

 この間、市役所へは5回行きました。「死亡に伴う相続手続きには、住民票、戸籍抄本などなどが必要です」とアドバイスがあれば、1回で終わったかもしれません。

 出雲市役所は、こうした諸手続きが速やかに運べるよう、昨年10月から県内はじめての「ワンストップサービス」を始めたと聞きました。

 出雲市は死亡届を受理すると、届け出人に2日後以降に窓口に来るよう連絡します。間の1日で、関係する七つの課で必要な書類の準備を進め、死亡手続き一覧表などを作成します。

 届け出人が市役所に来た時には「おくやみコーナー」に案内します。本人はその場で座ったまま。市役所の職員が健康保険の次は介護保険、その次は市民税などと交代しながら次々に手続きを進める仕組みになっています。

 ところが民間金融機関では一例ですが、同趣旨の書類があるところでは「相続届」、あるところでは「貯金等相続手続き請求書」と名称も、様式も機関ごとに違います。

 連携して、書類の統一化や添付書類の同一化を図り「ワンストップ、ワンライティングサービス」と呼べるような簡素化に努めてもらいたいものです。東奔西走して、喪主は精神的にも肉体的にも疲れていますから。

 …………………………

 くろかわ・しんじ 江津市波子生まれ、早稲田大卒。JA島根中央会で農政、広報、福祉、青年組織を担当し、JC総研客員研究員を務めた。松江市在住。72歳。

2019年1月27日 無断転載禁止