ペンと乳・父編(26) ふと気が付く父性

 世の中を見る目が変わる

 父親の自覚とはなんだろう-。子が生まれる前後に問うていた疑問は、腕組みして考える類いのものでなかったかもしれない。

 強く意識しなくても、子によって自然に行動や思考が変化させられている感覚。われながら感心するほどだ。

 恥を忍んで列挙する。例えば、携帯電話の待ち受け画面が家族写真になっていたとき。別に周囲に見せたいわけではないが、子のベストショットや家族写真を設定し、いつでも見られるようにしている。職場の同僚がパソコンのデスクトップに張り付けているのは目にしていた。まさか同じ行動になるとは、驚きだった。

 仕事を終えて帰宅し家族が寝静まると、コソコソとスマートフォンを開いて撮りためた子の写真や動画を眺めるのも日課の一つ。成長ぶりにいちいち感嘆している親バカぶりだ。

 世間の子を見る目も変わった。特別子ども好きでもなかったはずだが、すれ違う子や友人、知人の子どもがとてもかわいく映る。「笑顔かわいいね」とか、「気を付けて帰るんだぞ」とか心で呼び掛けていたりする。

 独身時代に自分だけに費やしていた時間と金も変化した。休日はなるべく家族と時間を過ごすようになり、外に出る機会が激減。趣味だった登山の道具は部屋の隅でほこりをかぶっている。

 服装は特に頓着しなくなり、休日はだいたい同じポロシャツやセーターだ。身なりを気にしなくなったのと運動不足のせいだろうか、腹回りの肉は着実に厚みを増している。

 仕事にも影響している。社会では無論さまざまなストレスが飛んでくる。飛ばしてくる人たちも、昔は小さな赤ちゃんだったときや子を持つ親の一面があるんだよなぁ~と想像すれば、少し穏やかな気持ちになれる気がする。

 変化する内面は子が見せてくれる新しい世界。ありがたく受け取り、歩んでいこうと思う。

2019年1月19日 無断転載禁止