アキのKEIルポ ほんの小さな考え方の差

 最終的に勝者と敗者を分けた要因とは、ほんの小さな考え方の差だったのかもしれない。3時間48分を要し、両者328本のポイントを積み重ねた上で、2人を隔てた差異はわずかに4本。そのうちの3本は、今季から導入された“10ポイントマッチタイブレーク”で生まれた差である。

 通常、多くのテニスの試合では、各セットのゲームカウントが6-6になった時点で、先に7ポイントを取った方がセットを取る“タイブレーク”が用いられる。だが今回の全豪では、最終セットのタイブレークに限り10ポイント先取制に。

 やや余談になるが、今大会で最初にこのルール下で戦った選手は、7ポイントを取った時点で勝ったと思い喜びを爆発させてしまった。観客にはもちろん、まだ選手にすら浸透しきらぬ、どこかゴワゴワした肌触りのシステムだ。

 超ビッグサーバーのカロビッチとの試合が、この10ポイントタイブレークになだれ込んだ時、錦織は「10点あればどこかでリターンを返せる。自分に若干有利」と考えたという。

 6-7とリードを許し、相手のサーブという絶体絶命の場面で返した2本の会心のリターン―。それは運でも偶然でもなく、彼の心の様相が映した、確かな勝利への青写真だった。

 (フリーライター・内田暁)

2019年1月19日 無断転載禁止