世事抄録 「政治の堕落」見える沖縄

 沖縄では2月24日、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立てについて賛否を問う県民投票が予定されている。しかし同飛行場のある宜野湾市の松川市長は昨年暮れ、投票実施に協力しない意向を明らかにした。世界一危険な基地を抱える地元として「投票結果によっては飛行場の固定化につながる」というのが表向きの理由だが、安倍官邸の差し金が透けて見える。

 日米両政府による1996年の普天間返還合意から既に22年。実は元から「前提条件が整わなければ返還とはならない」(稲田元防衛相)ことを、防衛省は秘密にしてきた。その条件の一つは長い滑走路が必要な緊急活動のため「米軍による民間施設の使用を改善する」との内容で、国会答弁などから隠しおおせなくなっている。

 つまり2700メートルある普天間飛行場の滑走路に対し、辺野古はオーバーランを加えても1800メートルしかなく寸法が合わない。条件に合う民間施設は那覇空港と宮古島市下地島空港だが、那覇は自衛隊も使う過密空港で事故の危険が増す。安倍首相らは「辺野古が唯一の解決策」と喧伝(けんでん)するが、米軍との調整がかなわなければ普天間返還が実現しないことは半ば常識化している。

 そんな本土の目くらましを、亡き翁長前知事は「政治の堕落」と呼んだ。沖縄をウオッチすると、あの悲痛な抗議がよみがえってくる。

 (松江市・風来)

2019年1月17日 無断転載禁止