石見根付の創始者 清水巌の業績知って 江津の田中さん活動

清水巌を紹介する案内板を示しながら、功績などを説明する田中俊■(目ヘンに希)さん(左端)
 江津市を拠点に活動する根付(ねつけ)彫刻家、田中俊■(目ヘンに希)(としき)さん(76)=同市嘉久志町=が、県西部に伝わる石見根付の創始者、清水巌(1733~1810年)に光を当てる活動に力を入れている。印籠などを帯につるす留め具を芸術品の域に高めた業績を紹介する案内看板を墓地近くに設置。関連の展示施設を開設するアイデアも温めており、海外からも評価される作家の存在を広く知ってもらい、地元の振興や伝統文化の継承につなげる。

 巌は松江市玉湯町に生まれ、宝暦年間(1751~64年)に江津市に移住し、豪商の後ろ盾を得て工房を構えた。イノシシやゾウの牙、黒檀、海松(サンゴの一種)などを材料に、セミやカエル、ムカデといった生き物を図柄にした写実的な作品を制作。高い技術と芸術性が評価されるとともに、根付文化の普及に向け、多くの後進を育てた。

 作品は海外でも人気を集め、各国の蒐集家(しゅうしゅうか)が所有。オークションでは数百万円から数千万円の高値が付くことがあったという。

 田中さんは「人並み外れた技量で石見根付の伝統をつくった古里の偉人を、多くの人に知ってもらいたい」と思いを募らせ、今秋、巌の墓地がある江津市嘉久志町のまちづくり推進協議会の協力を得て、墓地近くに案内看板を設置。巌の生涯や作風、作品をカラー写真などを交えて紹介している。

 江津市には根付のほか、万葉歌人・柿本人麻呂が数多くの歌を残した歴史や石見神楽の伝統が残る。田中さんは2020年の東京五輪や25年の大阪万博の開催、山陰自動車道の整備を踏まえ、「国内外に誇る地元の資源を一堂に紹介する展示施設をつくり、多くの人を呼び込み、江津の振興につなげたい」と構想を膨らませている。

2018年11月29日 無断転載禁止

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