民具の収集50年 住民協力に感謝 浜田で守る会 あす式典、記念誌も

国指定重要有形民俗文化財の民具を前に50年を振り返る隅田正三会長
 農村の近代化に伴い、消滅の危機にあった民具を保存し、民俗文化を継承してきた浜田市金城町波佐の西中国山地民具を守る会(隅田正三会長)が創立50周年を迎えた。住民に民具の提供を呼び掛ける「一家一点提供運動」を展開して収集。一部は国指定重要有形民俗文化財に指定されている。節目に合わせて記念誌を発行し、地区の全世帯(約300世帯)に感謝を込めて無料配布。11日に記念式典と講演会を開く。

 隅田会長(76)によると、波佐地域周辺は1963(昭和38)年の38豪雪が転機となり、農閑期は出稼ぎする住民が増加した。現金収入を得て、農業の機械化と、かやぶき屋根を瓦にふき替える時代の転換期を迎えた。

 結果、屋根裏に保管されていた木製の農具や紙すき、山仕事の道具を焼却処分する住民が相次ぎ、危機感を募らせた有志15人が、68年11月に同会を結成した。波佐、長田、小国3地区の住民に民具の提供を呼び掛ける一家一点提供運動を展開し、約3500点もの民具を収集した。

 住民に「子々孫々まで大切に残す」と約束した多数の民具は、大きさや使用方法、入手先などを詳細に整理し、71年末に758点が国指定の文化財となった。

 また、地元の古老に協力を得て、紙すきや農具の使用方法を記録。高齢者を招いて民具に触れながら昔を語らう、認知症予防のセラピーを開くといった「実践民俗学」も実施している。

 記念誌「実践民俗学50年の歩み」(A4判40ページ)は、結成された経緯や二つの資料館の開館、紙すきや麻蒸しといった昔の作業を再現した記録など、半世紀にわたる保存・継承活動をつづった。

 隅田会長は「文化財のない地域に国指定の文化財が生まれた。民具を保存するだけでなく、活用して伝え残す事業は意義がある」と、半世紀を振り返った。

 式典と講演会は午後1時から同町波佐のときわ会館である。民俗学の権威で神奈川大の佐野賢治教授が「宝は田から」と題して講演する。入場無料。

2018年11月10日 無断転載禁止

    • マイベストプロ
    • マイベストプロ島根 マイベストプロ鳥取マイベストプロ