島大付中「教育」班 子育て、食育で社会貢献

 島根大学教育学部付属中学校では、「総合的な学習の時間」に、中学校3年間を通して「住みたいまちプロジェクト~ふるさとの明日を創ろう~」というテーマを設定して活動している。3年生ではその集大成として「他と共に社会に参画する」というテーマのもと、地域社会での社会貢献活動に取り組んだ。

 私たち「教育」班では、教育の面から地域貢献について考え、それぞれのグループに分かれて活動した。今回は、この紙面を通してそのいくつかを紹介したい。(勝部 花奈)


 松江市の課題に挑戦

自ら考案したレシピを基に子ども向け料理を調理する食育班
 私たちは“住みたいまちプロジェクト”のもと、地域のさまざまな課題を追求するために活動を行った。活動は、自分の「強み」を理解し、それを踏まえて「観光」「環境」「教育」「生活」「福祉」「ものづくり」の六つの班に分かれて行った。そして、班内でも一人一人の追求したいテーマごとに、さらに3人から5人のグループに分かれて、それぞれ取り組んできた。

 この活動では、それぞれが着目する課題の解決に向けて、自分たちに何ができるかをまず考えた。そして、企画から準備に至るまで、多くの活動を自分たちで決めて実行した。この活動の中で、見通しを持つことや、協力していただく方との調整の難しさ、大変さを感じた。

 最初は、どうすればいいのか戸惑ったが、活動を進めていくうちに、自分たちで探求して課題を解決していくことの面白さに気づき、どんどん楽しくなっていった。また、自分で実際に社会に関わってみて、地域の良さやつながりが改めて見えてきた。

 私たち「教育」班では、まず教育の視点から松江市の課題を出し合った。その中から、自分たちにできることは何かを考え、松江市内の「幼児の教育環境」「幼児の運動教育」「食育」などのテーマに分かれて活動を進めてきた。今回、その成果を広く皆さんに知ってもらいたいと考え、新聞で発信することにした。(鈴木里慧南)


 地産地消レシピ
  給食への献立化目指す

地産地消レシピを考案したグループ
 地域貢献を信条として考案した地産地消レシピ。「地元で採れた食材は、地元で食べる」-この大切さについて、小学生などにも知ってもらいたいという思いからレシピを考案し、島大付属小学校での給食の献立化につなげたいと考えた。しかし、付属小学校の児童でも食べられるメニューの考案は困難を極めた。

 そんな中、普段、付属小学校で給食の献立を決めている栄養士の山崎美紀さん(41)=写真=から幾つものアドバイスをいただいた。いただいたアドバイスから、いかにして野菜の栄養素を摂取し、食べやすくするかということを加え、メニュー考案を続けた。

地産地消で考案した「筑前煮」(右)とニンジンの皮とあご野焼きを巻いた「卵焼き」(左)
 そしてできたメニューは、地元の野菜を盛り込んだ「筑前煮」と、筑前煮を作る際に出る、ニンジンの皮とあご野焼きをまいた「卵焼き」だ。筑前煮に入れた野菜のほとんどは島根県産のもので、ニンジン、シイタケなどがその例だ。

 卵焼きは、筑前煮を作る際に出たニンジンの皮を使うことで、ごみの廃棄量を抑え、同時に皮にある豊富な栄養価を摂取することができる。筑前煮は野菜が軟らかくて、カツオと昆布のだしが中まで染み込んでいて、卵焼きはほんのり甘くてふわふわしていた。どちらも手軽なうえ、非常においしいものとなった。

地元産のニンジンの皮とあご野焼きを巻いた地産地消レシピの「卵焼き」に取り組む食育班の男子生徒
 小学校の給食の献立にするのにはまだ時間がかかるが、地産地消の大切さについて知ってもらえる良い機会となった。

 山崎さんは「生徒の皆さんがたくさんのアイデアを出してくれた。生徒たちの柔軟な発想力にあらためて驚かされた」と話した。(福田龍之介)


 特産品はシジミ 7割の生徒回答

 今回、私たちは島根県の地域活性化のためにはどのようなことを推進すべきかを話し合い、その結果として地産地消を推進すべきだと考えた。その理由は、地産地消が誰でも取り組みやすい地域活性化の方法だと考えたからだ。

 そこで、私たちは社会貢献活動として、地産地消を広めるためのレシピを考案し、給食での献立化や、新聞を使った発信でそれを広めようと考えた。

 まず、島大付属中3年生139人に地元の特産品についてのアンケート調査を行った。その結果「シジミ」と答えた人が100人を超え、そのうちの半分以上がシジミのみを回答した。

 このアンケートを通して、「地元の人々自身が地元の特産品について知らない」という現状が見えてきた。(山口蒼太郎)


 食育
  苦手野菜克服へレシピ

「食育」を進めるレシピを考案したグループ
 私たち「食育」グループは7月中旬、付属幼稚園・付属小学校低学年の保護者を対象に、子どもたちに食べることの大切さを知ってもらうためにアンケートを実施した。

 まず、子どもが苦手な野菜について聞くと、(1)ピーマン30・5%(2)なす24・4%(3)トマト19・0%(4)きのこ17・1%(5)ゴーヤー14・6%という結果になった。苦手とする理由としては、「苦みがある」「食感や舌触りが嫌い」「見た目が苦手」などだった。

 さらに、子どもが苦手な野菜を食べられるように工夫していることを聞いた。その中には細かく刻んだり、子どもが好きな味付けにする、などがあった。この集計結果を基に、島根の特産品を使用した子どものかみこなす機能の向上や、苦手な野菜の克服につながるレシピを考案した。(杉江朱音)


生徒たちが考案した食育レシピ
<1>カミカミごぼうのベーコン巻き(8個分)
【材料】
▽ゴボウ1本
▽ゴマ油
▽ベーコン8枚
▽塩コショウ少々

【レシピ】
1 ゴボウの皮を包丁の背を使ってむく。
2 皮をむいたゴボウをできるだけ細切りにする。
3 ボウルに水を入れ、細切りにしたゴボウを水につけてアクをとる。
4 フライパンでゴボウをゴマ油で炒め、塩コショウをする。
5 炒めたゴボウをベーコンで巻いて、つま楊枝をさす。
6 フライパンにゴマ油をしいて、ベーコンに焼き色がつくまで焼けば、完成。

【ポイント】
・子供のそしゃく機能を向上させるために、ゴボウを使用。(野津 彩華)


<2>サツマイモとニンジンのジャム(りんご風味)
【材料】
▽サツマイモ小2本
▽100%りんごジュース350cc
▽ニンジン1本
▽砂糖大さじ5
▽レモン汁少々

【レシピ】
1 サツマイモ、ニンジンの皮をむき、すりおろす。
2 鍋に全ての材料を入れて中火にかけて、30~40分煮る。
3 繊維質が気になる人はざるでこす。

【ポイント】
・野菜が嫌いな子どもでも食べられるように、野菜を使ったジャムに。
・野菜に元々甘さがあるので、砂糖が少なめでも大丈夫。
・舌触りが滑らかになるようにすり下ろし、さらにざるでこす。(酒井穂乃花)


<3>シジミのクラムチャウダー(4人分)
【材料】
▽ルー1/2箱
▽ニンジン1/2本
▽タマネギ1個
▽ベーコン3枚
▽ジャガイモ2個
▽シジミ(殻付き)400グラム
▽牛乳400cc
▽水300cc
▽サラダ油適量

【レシピ】
1 なるべく小さく野菜を切る。
2 シジミは加熱して、身をむいておく。
3 鍋に油を入れ、タマネギとニンジンから炒める。
4 タマネギが透明になったら、ジャガイモとベーコンを加えて炒める。
 ※ジャガイモは水に浸してアクを抜いておく。
5 牛乳と水を加え、沸騰してきたら、弱火で5分ほど煮込み、ルーとシジミを入れ、さらに煮込めば完成!

【ポイント】
・アサリの代わりに島根の特産品のシジミを使用。
・野菜はなるべく小さく切り、たくさん使用。(酒井穂乃花)


<4>パンプキンボール(デザート)(8個分)
【材料】
▽カボチャ1/4個
▽クリームチーズ4個(18グラム×2)
▽レーズン適量
▽砂糖お好みの量で

【レシピ】
1 カボチャは種とわたを取り除き、きれいに洗う。
2 耐熱容器に底から1センチぐらい水を入れ、ラップを軽くかぶせ、600ワットで10分レンジにかける。
3 カボチャが軟らかくなったら、水を捨てて包丁で皮を取り除き、身の部分をボウルに入れる。
 ※熱いため、冷めてから行うこと
4 3に手で小さくちぎったクリームチーズ、レーズン、砂糖を入れて混ぜる。
5 4をスプーンですくってラップで包み、ラップをねじってボール状にする。
6 ボール状にしたものをラップから出し、ピックをさして完成。

【ポイント】
・カボチャを使った栄養満点の甘いおやつ。
・子どもが楽しく食べられるように、レーズンでデコレーションをするのもおすすめ。(野津 彩華)


 幼児教育・子育て
  都会と地方の格差知る

松江市の幼児教育について取材したグループ
 島根大学教育学部付属幼稚園の保護者と子育て支援センター「あいあい」の利用者を対象に、幼児教育についてのアンケートを行った。さまざまな質問内容の中からいくつか選び、紹介したい。

 まず、「島根で子育てするメリットは何か」と質問したところ、一番多かった回答は「自然が豊か」だった。具体的には「海も山もある」「四季折々の楽しさがある」などがあった。医療費に関する回答も多かった。特に「小学6年生までの医療費が無料になる」という島根県独自の医療費助成が多く挙がった。

 「その他」には「他県と比べ、教育にかけるお金が少なくて済む」や「受験戦争がない」などの意見が挙がった。自然が豊かなことや医療費などは予想通りの結果だった。

 一方、島根県で子育てするデメリットについて聞いたところ、一番多かった回答が「娯楽施設が少ない」だった。「お出かけスポットが少なく、行くのに時間やお金がかかる」という意見があった。「選択肢が少ない」という回答が次に多く、「教育機関(特に私立の学校・園)、習い事の選択肢が限られる」といった意見があった。

 ほかにも「美術・科学系のイベントが探しにくい」や、「都市部への交通アクセスがよくないので、旅行の日程が組みにくい」という意見があった。アンケートの中で「情報が少ないような気になり、あまりよくないと分かっていても、ネットに情報を求めてしまう」という意見があり、都会と地方の格差を感じた。(神部ほのか、寺本恵衣)


IN松江 公園マップ

 保育施設で調査活動
  待機児童減少へ努力

 島根県の幼児教育の実態について知るため、松江市内の保育施設で、インタビューをはじめとした調査活動を行った。さまざまな調査活動の中で印象に残った内容は、「島根県の待機児童の実態」と「教育の全体的な課題」についてである。

 島根県の待機児童は平成30年3月の時点で419人と意外と多かったが、これに対して、松江市が認可保育施設を増やして少しでも待機児童を減らそうと努力していることを知った。共働き率が高くなっていることも島根の特色の一つである。このような待機児童を減らす松江市での取り組みは、子育て世代のお母さんにとってとても助かることなので、重要なことだと思った。

 また、教育の全体的な課題の一つに、「子どもの学ぶ意欲の低下(学習や職業に対して無気力な子どもが増えている)」があることを知った。その理由として、就寝時間が遅くなっていることや、テレビ・DVD等の視聴時間が長くなっていることがあるそうだ。

 幼児期でしか学べない体験活動を多く経験し、いろいろな気付きを大切にしながら知恵を身に付けていくことの大切さを、たくさんの人に知ってもらいたい。(金津 恵)


 <編集後記>

 「やっぱり難しかった」-これが私が新聞記事を書いて思ったことだ。記事が多すぎてまとめることが大変だった。普段から記事を書いている方はすごいなと、改めて思った。

 私たち「食育」グループでは、アンケートをもとに野菜を使ったレシピを考案した。レシピを考えることは難しかった。しかし、学校の先生方に試食していただいた時に、「おいしい」や「作ってみたい」などといった言葉をもらい、その時は大変だったけど作ってよかったと思った。

 洋風化した食文化になっている現代の子どもたちに、食べることの大切さをこれからも広めていきたい。(小柳茉里菜)

2018年10月25日 無断転載禁止

こども新聞