<9>朝来の岩津ねぎ(兵庫)

 コース料理 存分に堪能

 日帰り列車で、旬の味覚や観光地の散策を楽しむJRの「駅長おすすめ駅プラン」。北近畿エリアを管轄するJR西日本福知山支社(京都府福知山市)が昨年、斬新な企画を打ち出した。主役に据えたのは、なんとネギ。天ぷらからクレームブリュレまで、兵庫県朝来市の特産「岩津ねぎ」のコース料理を存分に味わえるツアーだ。


岩津ねぎのほ場。これから土寄せを繰り返し、白根の部分が育つ。寒さが厳しくなるにつれ、より太く甘くなる=兵庫県朝来市物部
 これまではカニ、但馬牛、マツタケ、ぼたん鍋などを商品化してきたが「自然豊かな北近畿は、食の宝庫。『王道』ばかりでなく、知る人ぞ知る上質な食材も扱いたかった」と同支社営業課の稲田寛輝さん(34)。「焼いてよし、揚げてよし、鍋に入れてよしの岩津ねぎは、料理のバリエーションが豊富で味も抜群。間違いなく主役になれる食材」と太鼓判を押す。

 岩津ねぎは江戸時代、生野銀山(朝来市生野町)の労働者の栄養源として栽培されたのがルーツとされる。白ネギと葉ネギの兼用種で、とろけるように軟らかく、冬の寒さで甘みを増す。販売期間は11月23日~3月21日の出荷終了まで、「軟白(白根)が25センチ以上」などの厳格な規格が設けられている。

 戦後は生産者の減少で「まぼろしのネギ」と呼ばれた時期もあり、地元関西でも知名度はそれほど高くない。大阪出身の稲田さんも同支社に赴任するまで岩津ねぎを知らず、初めて食べたときはトロリとした甘みに感動したという。

「竹田町屋 寺子屋」が提供した「冬の岩津ねぎと但馬の幸の招福ご膳」メニュー(提供)
 コース料理は、年間200万人が訪れる道の駅「但馬のまほろば」(同市山東町)と、天空の城として知られる竹田城跡の麓にあるカフェ「竹田町屋 寺子屋」(同市和田山町)がそれぞれ考案。地元の但馬牛と合わせたすき焼きや陶板焼き、タジン蒸し、豚肉ロールフライ、酢みそあえ、白髪ネギのピリ辛サラダ…など「岩津ねぎづくし」のメニューを編み出した。

 地元の岩津ねぎ生産組合も土産のネギを提供するなど全面協力。JRと料理店、生産者がタッグを組んだ異色の「ネギプラン」は大好評で、主に京阪神から400人以上が訪れ、アンケートでも9割超が「とても満足」「満足」と答えた。

 「『こんなにおいしいネギは初めて』と喜んでもらえた。まだまだファン開拓の余地がある」と米田隆至組合長(72)。駅プランは本年度も実施する予定で、新たに収穫体験なども組み込む計画だ。(神戸新聞社)

<メ モ>

 岩津ねぎ 原種は京都の九条ねぎ。昭和初期、関東の千住系ネギとの交雑で改良された。青葉から白根まで全て食べられ、群馬の下仁田ネギ、福岡の博多万能ねぎと並び「日本三大ネギ」の一つとされる。生産組合員は約250人。朝来市内の栽培面積は約27・5ヘクタール。

2018年10月10日 無断転載禁止